CERAFLOUR 1000
水系、UV/EB硬化型、無溶剤型および溶剤型用の再生可能資源をベースとした、生物分解性ポリマー
持続可能性は、新製品の開発における重要な側面です。製品の直接的な特性と効果に加えて、環境への影響、化学的要素、およびエネルギー消費への課題も重大に考慮されるべき事項です。
市場に出回っている多くのワックスベースの添加剤は、原油またはガス由来の原材料が使われ、ツヤ消し特性や耐スリキズ性を向上させるための従来の(高密度)ポリエチレンワックスから、塗料コーティングの表面スリップ性を整えるポリプロピレンワックスまたはPTFEの種類があります。それら製品はかなりの優れた性能を示し、有効性もあることから、それぞれの用途で使用されています。しかしながら、持続可能性の側面、例えばバイオベースの原材料の使用を考慮すると、これらすべてのワックスは真摯に見直されなければなりません。
明らかに主要な要因の1つは、原油は有限の原材料であるということです。これは、次の世紀にわたるその利用可能性への懸念を意味し、新しい代替原材料を見つけ出し、試験をして最終的に使用できることが必要です。もう一つの大きな要因は気候変動です。気候変動は今も続いており、私たちの行動が大きく影響しています。CO2を可能な限り抑制することは、地球温暖化を1.5℃未満に保つための2015年のパリ協定に準拠の一助となります。
政府はこの問題を認識しており、化石原料の使用が及ぼす気候変動への対策を講じています。例示的な対策としては、二酸化炭素(CO2)排出に対する税金の徴収、または購入者が証明書を購入することで一定量のCO2を排出できるようにすることです。
しかし、経済への影響は問題の一面にすぎません。原油ベースの製品の使用を減らすためには、生態学的効果がはるかに重要です。
持続可能性の別の側面は、製品の最終処理の問題に関してです。私たちの日常生活では、プラスチックに囲まれ、多くのプラスチック廃棄物が発生しています。このプラスチック廃棄物は分解に多くの時間を必要とします。PEビニール袋の場合、約500年です。したがって、プラスチックがバクテリアや真菌などの微生物によってより短い時間で分解される生分解性のような終焉方法がますます重要になっています。しかし、プラスチックがビニール袋の場合ほど、私たちの生活の中で必ずしも理解されているとは限りません。多くのワックス添加剤は合成原料に基づいているため、プラスチックのように生分解性の問題の影響を受けます。したがって、生分解性材料の量を増やすことは、より持続可能な未来への道を開くのに役立ちます。
CERAFLOUR 1000は、2011年に上市された持続可能性の向上に寄与する添加剤の優れた製品の1つです。天然または合成ワックスを使用して製造された従来の添加剤の特性を備えていますが、バイオベースのポリマーがベースで完全に生分解性です。そして2021年、BYKは、同じ原材料をベースにした粒度分布が異なる2つの新しい添加剤 CERAFLOUR 1001およびCERAFLOUR 1002を上市し製品群を増やしました。
これら3製品は、すべて、バイオベースの含有量が97%を超えており、完全に生分解性です。さらに、バイオベースポリマーは、進行中のマイクロプラスチックの問題解決に大きく貢献し、水生生物を保護します。
図1.CERAFLOUR 1000シリーズのポリマー原料抽出の概要
CERAFLOUR 1000シリーズのポリマーは、微生物の助けを得て製造されています。これらの有機体が炭水化物を食べ発酵プロセスでバイオベースのポリマーを生成します。次の段階では、ポリマーが微生物から分離され精製されます。微粉化の最後のステップは、さまざまな塗料コーティング用途に使用できるポリマーへと完成されます。
CERAFLOUR 1001を使用することでCERAFLOUR 1000よりもさらに細かい粒度分布の添加剤として、最高の透明性を実現すると同時に、光沢を大幅に低減します。 一方、CERAFLOUR 1002は、粒子サイズの大きい添加剤として、透明度の高い表面テクスチャーを作成すると同時に、最高のマット性能を実現します。凝集体を形成するポリマーの球状構造は、SEM(走査型電子顕微鏡)画像で見ることができます。 CERAFLOUR 1000の粒子サイズは、他の2つの製品の粒子サイズの間にあります。
SEM画像 CERAFLOUR 1001およびCERAFLOUR 1002の粒子径の違い
これら添加剤を使い、さまざまな種類の用途分野で集中的に試験をしました。本製品は水系を始め、100%UV塗料だけでなく、従来の溶剤型塗料系でも優れた相溶性と性能を示します。木工・家具用塗料、印刷インキ、および一般工業用塗料コーティングでのご使用を特に推奨します。 CERAFLOUR 1001は、ヘイズが最も低く、同時に優れたツヤ消し特性を発揮します。特に添加量を多くすると、CERAFLOUR 1001は他のPEワックスと比較して低いヘイズ値を示します(図3を参照)。
図3.水性純アクリル木工塗料系のHD PEワックス添加剤と比較したCERAFLOUR 1000シリーズポリマーの光沢とヘイズの値
実験室でのテストでは、本ポリマーは一般的なPEワックスとの相乗効果を示し、塗料配合での耐スリキズ性と耐摩耗性を向上させます。コーティングの表面に優れた耐スリキズ性を持たせるには、これら添加剤をわずかに添加するだけで十分です(配合全体の0.5%)。さらに、3つの製品はすべて、シリカベースのツヤ消し剤との相乗効果を示します。
図4.HD PEワックス添加剤(CERAFLOUR 927 N)と比較した抗光沢の向上
さらに、3つの製品はすべて、優れた触覚特性を付与し、表面の「ソフトな感触」効果をもたらします。この性能は、粒子サイズが小さい場合に特に有効です。
さらに、CERAFLOUR 1000シリーズのポリマーを添加することによって、配合物の再生可能な有機炭素分を増やすのに役立ち、より持続可能な解決策が求められている市場要件を満たします。
持続可能性は複雑な問題であり、考慮すべき多くの側面があります。環境にやさしいソリューションへの代替えは、原材料だけではありません。より低い皮膜形成温度、より少ない数の溶媒または結合、より速い硬化速度、またはより良い分解性–CO2を削減する多くの方策があります。
CERAFLOUR 1000シリーズは、サプライチェーン全体でより持続可能になり、お客様に持続可能なソリューションを提供するというBYKの目標に向けた新たな優れたステップです。
未来をより持続可能なものにするために当社製品をお役立て下さい!
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